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ミュージック・ビジネス【アメリカ編】後篇

さて、後編は現代の米国音楽ビジネスの状況だ。音楽自体はグラミー賞などでおよそ10年単位で、流行りも変化している。



まずは結論から書こう。

紆余曲折を経て、淘汰されたり買収で巨大になったりして巨大な2社による勢力図となっているのだ。例えば日本でもたくさんあったコンビニがセブン、ローソン、ファミマの3社となった。今の感じでは、巨大2社勢力になる日も遠くない気がする。

米国の近代ビジネス


その2社とは、

①ライブ・ネイション

全世界を牛耳ってきたライブ・ネイション。現在はN.Y.市場で上場している。買収劇を繰り広げ現在がある。
●代表的なアーティスト:ローリング・ストーンズ、U2、他。



②AEG(アンシューツ・エンターテイメント・グループ)

フィリップ・アンシューツ率いる巨大グループだ。興行売上42億ドル。こちらは大本は鉄道会社で大資産がある中で、興行意以外に通信・映画・スポーツ・石油・不動産と幅広く100社以上のビジネス展開を行っている。
●代表的なアーティスト:マイケル・ジャクソン、セリーヌ・ディオン、ボンジョビ、ポール・マッカートニー他。

AEGのビジネス展開は王道なので敢えて説明しないが、ライブ・ネイションはベンチャーとして紆余曲折を繰り返した。ライブ・ネイションについて説明をしよう。



ライブ・ネイション誕生までに、時間がかかった。


まずは、中心人物はユダヤ系マイケル・コールだ。ストーンズやビートルズのビジネス展開をした男。ベンチャーを起ち上げ「マスター・プロモータ方式(興行権一括)」を発案しエスクロー預託口座を作ってワールド・ツアーを行ったのだ。

一般的に説明するのは難しいが、保険とか信託銀行口座のようなもので、世界中の興行プロモータと双方安全に、しかもスピーディに資金回収ができるシステム。
最初にこのベンチャーをSFXに売却した。
SFXは、演劇&音楽興行、スポーツ・エージェントの他にアラン・ベッカー率いるペース社(マーチャンダイジング、飲食、シーズンチケット制度、駐車場経営等)を買収して、興行の近代化を図ったのだ。

その後クリア・チャンネル社がSFXごとバックンとM & Aしてしまったのだ。買収金額44億ドル。


クリア・チャンネルは放送や屋外広告(ネーミングライツ)も展開していた。
そしてこの音楽ビジネス部門を別法人にして、巨大(ライブハウス)ネットワークの「ハウス・オブ・ブルース」も買収。
別法人にした理由は、IPO(上場)狙いなのだ。見事上場を果たし、前述のAEGグループに並んだ。そして、最初に売却して一攫千金を手にしたマイケル・コールが再び役員として戻った。

少しアップルのS.ジョブズを思わせるストーリーだが、最終的に異なる。
彼は売却益を元手にバミューダ島に移転(租税回避地で税金逃れる)そこでCPIカナダ社を起業。上場したライブ・ネイション社に株式の50%を売却して役員に就任(泳がせてでかくなったらまた取り込むユダヤ系の凄さ)

チケットビジネス展開


その頃、AEGグループの方は最大のチケット会社「チケット・マスター」を通じてチケット販売していた(日本でいうチケットぴあ)。上場したライブ・ネイションは、対抗のCTSイベンティムのチケット会社と提携をしていた。

しかし、事件が起こった。2008年末に世界を震撼させる、前代未聞の巨大合併が発表され業界が大騒ぎとなった。「音楽興行会社ライブ・ネイションと、同じく最大のチケット販売会社チケット・マスターが合併」世界中でマドンナ、U2等の興行途中のものがたくさんあり混乱を招いたのは言うまでもない。

しかもAEGの長期契約者だった敵のチケット会社と合併をしたのだ。オバマ大統領時代の出来事で、独占禁止法をマニフェストに加えており司法も絡んでの合併劇となった。



大騒ぎとなったのだが、上場マーケット上ではGAFAと言われる巨大ビジネスを筆頭に音楽業界はたかがしれている。日本でもAvexとアミューズ、ぴあ、機材のヒビノ音響くらいなのだ。達観したビジネス評からは“風邪ひき同士の合併”だったそうだ。IPOした以上、株主利益配当が必須である。ファイナンス視点の強引な合併だったのだ。



関連

前出の中心人物マイケル・コールは、ライブ・ネイションから、結局のところ追い出されてしまった。近代ビジネスでの大企業には向いていなかったのだろう。

ライブ・ネイションが上場を目指した時に日本企業も動いた。「ライブ・ネイション・アジア」を作ったのだ。
名古屋のショップ・ジャパンのハリー・ヒル&ロバート・ロークやローソンチケットの山岡武史氏(その後ローソン・チケット不正事件の容疑者になっている)、更にぴあ総研の北谷賢司氏。会社設立はして、ヨーロッパのビートルズ系興行をしてみたが、全く機能せずフェイド・アウトしてしまった。現在はLIVENATION JAPANが設立されている。UDO、KYODO、スマッシュ、クリエイティブマン等の招び屋(招聘会社)に並び、まだ量は少ないものの今後拡大して行くものと思われる。

ライブ・ネイション



https://www.livenation.co.jp/



AEG

https://www.aegworldwide.com/divisions/music

今後


21世紀の現在、GAFAなどの巨大企業が並ぶ。少なからずエンターテイメント分野に乗り出している。一番近いのがGAFAと同じクラスのアリババだ。マンモス企業のエンタメ部門が本格的に乗り出したら、AEGライブ・ネイションもひとたまりも無い。そんなビジネス・レベルだということを念頭に置いておかなければならない。




by KURA

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