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吉田拓郎というジャンル①

1970年代、青春期を送った人であれば、吉田拓郎の名前を知らない人はきっといないであろう。
当時のヒット曲には、「結婚しようよ」「旅の宿」などがあるが、74歳(2020年現在)になった今も、現役のアーティストであり、根強く熱烈なファンは多い。

昔ながらのファンを軸とした彼のイメージは、“フォークソング界のプリンス”“弾き語り”なんだろうが、実は、アコースティック・サウンドのみの活動期間は短い。
名盤『LIVE'73』ではフル・オーケストラでのライブを敢行。もはやこの時点で“フォークソング”というジャンルではないだろう。
彼は高校時代、<ダウンタウンズ>というロック・バンドで活動していた経緯があり、これがサウンドの原点だとすれば、『LIVE'73』は必然であろう。アコースティック・ギターは、彼の演奏スタイルの一つに過ぎないのだ。


吉田拓郎『LIVE’73』

彼にまつわるエピソード(武勇伝?)は、楽曲のみに留まらず、当時の若者文化をはじめ、音楽業界にまで大きな影響を与えた出来事が多い。
そしてそれらのいくつかは、いわゆる“史上初”で、他のアーティストとは比べものにならないくらいスケールが大きい。

例を挙げると、
◎全国コンサートツアー展開
当時、音楽は東京中心で、地方でのコンサートは、人気が落ちた歌手の“ドサ回り”として扱われていたが、一つのパッケージ(ミュージシャン、音響、照明などの機材やスタッフ)を整えて全国を回るスタイルを確立。これは、後のアーティストの定番になっていく。

◎テレビ出演拒否
元来テレビ好きな彼にとって、皮肉な話だが、出演していたテレビ局とのトラブル(厳密にはある大物歌手)により、その後のテレビ出演は一切拒否。このエピソードが彼を“カリスマ”へと押し上げていくこととなり、他のアーティストのお手本(?)になった。

◎個人レーベル、レコード会社設立
1972年、CBSソニー移籍の際、<オデッセイレーベル>という個人レーベルに所属。「結婚しようよ」「旅の宿」「シンシア」などのヒット曲はここから生まれている。その後、小室等、泉谷しげる、井上陽水とともに前代未聞のアーティストによるレコード会社<フォーライフレコード>を設立。

◎音楽プロデューサーとしての地位確立
CBSソニー時代、森進一に提供した楽曲「襟裳岬」がレコード大賞受賞。
これがきっかけで、歌謡・演歌界と自作自演のシンガーソングライターとの距離が縮まり、いろんなアーティストが歌謡歌手に楽曲を提供。そして、フォーライフ時代には、川村ゆうこ、原田真二、杏里、水谷豊などを発掘&プロデュース。


森進一「襟裳岬」


川村ゆう子「風になりたい」



◎特定アーティストによる大規模「オールナイト野外コンサート」
1975年、静岡県掛川市<吉田拓郎・かぐや姫 コンサート イン つま恋>(吉田拓郎/かぐや姫)を敢行。
前代未聞のこのコンサートは、全てが手探りでの開催だったが、成功を収めたことで、その後の野外コンサートの礎になった。
その後、彼自身も、
・1979年、愛知県篠島<吉田拓郎 アイランドコンサート in 篠島>(吉田拓郎)
・1985年、静岡県掛川市<'85 ONE LAST NIGHT in つま恋>(吉田拓郎)
・2006年、静岡県掛川市<吉田拓郎&かぐや姫 Concert in つま恋 2006>(吉田拓郎/かぐや姫)
を開催している。


吉田拓郎『 TAKURO TOUR 1979』

◎企画アルバムの発表
フォーライフレコードの船出が芳しくない中(他のレコード会社から相当の圧力があったらしい)、苦肉の策として発表されたのが、
・1976年、『クリスマス』(小室等、吉田拓郎、井上陽水、泉谷しげるによるクリスマス・アルバム)
・1977年、セルフカバーアルバム『ぷらいべえと』
である。売上げは伸びなかったもののこのアイデアが、後のアーティストに影響を与えたのは言うまでもない。


吉田拓郎『ぷらいべえと』

このように、結果として若者文化・音楽業界を牽引してきた吉田拓郎。きっと本人は飄々と「そんなことは、たまたま。偶然」と言うに違いない。だが、その一つ一つの出来事に、様々なバッシング、圧力が相当強かったであろうことは、時代を考えれば、想像に難しくない。それでも「我が道を行く」という彼の姿勢に、多くのファンは彼の楽曲や出来事を通じて憧れを抱いた。そして、その生き方を傍らで見ていたアーティスト達も。(THE ALFEEの坂崎幸之助、長渕剛、南こうせつ、泉谷しげる、武田鉄矢…などなど)

きっと“吉田拓郎というジャンル”が素敵なんだ。

2020年4月、<吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD>月1回のレギュラー放送が始まった。そこで、次に向けたライブの構想も語られているのは、大いに興味深い。

『吉田拓郎/吉田拓郎 2019 -Live 73 years- in NAGOYA スポット映像』

by T.Yoshimura

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