山下達郎は音創りに関しても折り紙付き。コーラスを自ら多重録音した“一人アカペラ”や、あらゆる楽器の編曲もしてしまう、その才能は“音の職人”とも言われている。更にアレンジやレコーディングのMIX & マスタリングに徹底したこだわり。
私も仕事柄、洋楽や邦楽の音源を聴くのだが、日本では一番音が良いと云っても過言ではない。
専門的にいうと、トラックダウンとマスタリングのレベルが海外並に高い。昔からそうなのだ。'70年代のアルバムもかなり良い音でレコーディングされている。音に対してのこだわりが、昔から徹底していた。
ミュージシャン曰くレコーディング後もなかなかリリースしなくて、録り直しも多いとか。それだけ音の追求度合いが日本一で世界に匹敵するのだ。
更に、その緻密さの先にはポップな楽曲が存在するので、唯一稀なアーティスト。サーファーなどにも人気があるが、アレンジは黒かったり16ビート系ファンキーだったり一つの楽曲をしっかり楽しめる。
例えば大ヒット曲「クリスマス・イブ」は、テレビ朝日の番組『関ジャム 完全燃SHOW』で分析された。
コーラスは8声で全部違うところを歌っているという分析だ。
当時、本人が多重録音で重厚なコーラスを録音したものであり、リリースから40年経った今も古くならない素晴らしいコーラスワークだ。
※参考:https://www.tv-asahi.co.jp/kanjam/backnumber/0120/
ライヴに関しても、基本同じメンバーを起用してクオリティをキープしている。
残念ながら他界した天才ドラマー青山純は今はいないが、当初からのメンバー伊藤広規のベース&同じく難波弘之のピアノが山下逹瑯サウンドを支えている。
コーラスも徹底してこだわり、トップレベルなハーモニーが魅力で群を抜いている。
メンバー情報は、次回に詳しく説明しよう。
そして、山下達郎本人のサイド・ギター(カッティング)は、ライヴでも一際光る。
音楽業界でも彼のカッティングは日本のトップと云われるのだ。フェンダー・テレキャスターの音が素晴らしく良いアンサンブルに成っている。
特に「スパークル」のイントロ・スタートはギターのカッティング。
山下達郎のギターからなのだ。
「AM7」2小節と「Eadd9onG#」2小節の繰り返しだが、とてつもないグルーヴ感と安定度が必要。YouTubeでもこのフレーズをコピーしてUPしているギター・キッズが多く存在する。
※『やさしく弾ける 山下達郎ピアノ・ソロ・アルバム ー達郎サウンドをやさしいピアノ・ソロにアレンジしましたー』より
発行:1993年1月15日
発行者:片岡博久
発行所:(有)ケイ・エム・ピー
------------------------------------------
ご本人は60歳半ば。以前から、歌のキーが下がったらその時は辞めるとも語っているが、とにかく、なが~く活躍してほしい日本の宝なのだ。
by KURA
■関連記事
山下達郎:時代を超えた“永遠のシティポップ”
奇跡のライブハウス公演<山下達郎 LIVE at THE BOTTOM LINE>