パット・メセニーが長い間メイン・ギターとして愛用しているアイバニーズのギターについて、出会いからツアーでの重宝ぶりを語ってくれた。
それだけでなく、彼にとってギターとは、アイデアの伝え方とミュージシャンのバックボーンの関係性とは、等々…深いストーリーも聞かせてくれた。
「ギターというのは、私にとってアイデアを生かし聴き手に伝える為の道具であり、他のミュージシャン達と同様にストーリーを創る為のものです。
私はミズーリ州のカンザスシティで育ったので、ビートルズが世界に出た当時、またマイルス・デイヴィスが有名になった頃、彼らとは全く違う歴史や文化に触れていたので、創るストーリー・ラインも全然違うものになりました。」
「私がアイバニーズに出会ったのは、かなり初期の頃でした。まだそれほど沢山のラインナップがなかった頃ですね。しかし、アイバニーズのギターに触れた時、これは全然違うぞ!と思いました。初めて日本に行ったのが1978年だったんですけど、二度目の来日時にアイバニーズの担当者が来て、私のためにギターを作ってみたい、と言ってくれました。凄く驚きましたが、三度目に来日した時にプロトタイプをくれました。それが、今私が手にしているコイツなんです。」
「もう最初から、私にぴったりハマった感じでした。それ以前のギターというのは、迷信も含めて本当に使うべきよりも長く使い過ぎていたかもしれない。だけど、そのメイン・ギターを置いて来てしまい、ニューヨークで『クエスチョン・アンド・アンサー』をデイヴ・ホランド、ロイ・ヘインズと一緒にレコーディングに使ったのがこのアイバニーズのプロトタイプ…。それが1989年でした。それ以降は、これがメイン・ギターであり続けています。」
「ギターというのは、プレイヤーに対してニュートラルである事が大切だと考えます。自分が何かアイデアを演奏したい時に、それに対してオープンであり、常に可能性を与えてくれる存在です。」
「ここに両サイドに二つのアイバニーズがあって…、これは触った事もないんですが、これを持って今すぐステージに上がり、何の問題もなく演奏が出来きますよ。
これは本当に価値のある事で、私のようなツアー・ミュージシャンにとってとにかく心強いんです。たとえばノルウェーの2〜3日後にモロッコで…みたいに、気温や湿度が全然違う環境にいても全く問題なく対応してくれる。本当に素晴らしく強い楽器だと思います。
余計な事を考えず心配なく弾ける。ギターに対して吹き込んだ音楽の息吹を必ず実現してくれる楽器です。とにかく1989年から長きに及んで、ずっと無事で耐え続けてきてくれただけじゃなく、本当に素晴らしい楽器であり続けてくれているんです。」
・アイバニーズ(Ibanez)公式サイト:http://www.ibanez.com/
・Ibanez Guitar YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCatC7redhzZ-ayFqwWDXMTQ
●パット・メセニー:プロフィール
1954年生まれ。13歳でギターを独学で始める。'72年、ゲイリー・バートンの楽屋に行って自身の演奏を披露。バートンはメセニーの実力を認め、18歳でバークリー音楽大学の講師を務める事となった。'74年には、ゲイリー・バートンの『リング』でレコーディング・デビュー。翌'75年、ジャコ・パストリアスを迎え初リーダー作『ブライト・サイズ・ライフ』
を発表。'77年にはバートンのグループを離れ、2ndアルバム『ウォーターカラーズ』
を発表。このアルバムで共演したライル・メイズらと遂にパット・メセニー・グループを結成した。『スティル・ライフ』
('87年)、『レター・フロム・ホーム』
('89年)など傑作・名作を世に送り続ける…。
Ibanez / PM200 NT Pat Metheny Model
Ibanez / PM2-AA Pat Metheny Model
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