吉田拓郎は自身が一人のアーティストでありながら、他のアーティストへ多くの楽曲を提供している。
森進一の「襟裳岬」はもちろん有名だと思うが、キャンディーズ、石野真子、梓みちよ、由紀さおり、太田裕美、森山良子、ザ・モップス、猫、トランザム、堺正章、西城秀樹、近藤真彦、中村雅俊、原辰徳、KinKi Kids、高木ブーなど、彼の楽曲を歌ったアーティストは相当数いる。(カバーされた曲を含めればさらに多い)
しかも、シングルのカップリングやアルバム曲、CMソングまで入れるとその曲数は果てしない。
ジャンルもフォーク、ロックをはじめ、演歌や歌謡曲、J-POP…と多岐に渡っている。
変わったところでは「ひらけ!ポンキッキ」のガチャピンが歌う「たべちゃうぞ」の企画ものまで、もう何でもありだ。
ただ、その楽曲の多くは作曲のみで作詞は手掛けてはいない。
どういう経緯でそうなったかはそれぞれだろうが、唯一無二の「吉田拓郎の言葉の世界観」が、他と完全一致するわけもなく、(彼は職業作家ではないので)求める方も、それが狙いではなかったのだろう。
しかし、メロディーメーカーとしての「吉田拓郎」が秀逸で圧倒的に評価されているのは、疑う余地はなく、それは実績が証明している。
冒頭にも述べたが、吉田拓郎は一人のアーティストだ。
多くのアーティストへの楽曲提供とは別に、彼自身が紡ぎ出す「ソリッドな言葉とメロディ」は自演によって本領を発揮する。
聴き手へのメッセージとも取れる説得力あるそれらの楽曲は、シンプルかつ、かなり破壊的だ。もちろん、彼自身の楽曲として発表された作品には、他の作詞家との共作も多く存在するが、それはある意味、その世界観の増幅装置として働いている。ただ、そちらの方が彼の代表作になってしまっている傾向にあると思われるが…。
2019年のツアーは、自身の作詞作曲のみに拘った選曲で敢行された。このことは事前にファンに伝えられていた。
みんなが大好きな「落陽」「春だったね」「旅の宿」などは、当然のことながら選曲から外されることになる。ツアーメンバーの一人がそのことについて、不安を抱いていたことをインタビューで話していたが、結果は、満員御礼の素晴らしいステージとなった。それは体験したファンたちが一番よく知っていることだろう。
「吉田拓郎/吉田拓郎 2019 -Live 73 years- in NAGOYA スポット映像」
・TAKURO YOSHIDA(吉田拓郎) avex official website:http://avex.jp/takuro/
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