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2020/04/26

【スティーヴ・スミス】ちょい悪オヤジ・ミュージシャン

…だが格好だけではなく筋金入りのプロ!

来日アーティストのレアな記事を提供している、招聘元でプロ・カメラマンでもある中村尚樹氏から、第三弾のエピソード原稿が届いた。
今回フィーチャーするのはドラマーのSteve Smith(スティーヴ・スミス)。ボトムラインの初ステージを踏んだのは1992年7月27日。今回は2010年の来日エピソードに迫る。

<ジャーニー>のドラマーとして人気を博し、ロックからジャズ&フュージョンまでこなし、自らのバンド<Vital Information(ヴァイタル・インフォメイション)>も長い歴史を持つに至っている、押しも押されぬトップ・クラスのドラマーである。 私とスティーヴの接点は、私が敬愛するイタリアのプロデューサー&ギタリスト、コッラード・ルスティーチの来日で突如出来た。2010年の4月に8都市9本のジャパン・ツアーにコッラードが率いてきたのが、キーボードのピーター・ヴェテッセとスティーヴだったのである。 

私はアラン・ホールズワースの大ファンであり、この2010年4月までにはすでに自らの手でそのアランを5度来日させていたのだが、アランのセッション参加作としても、スティーヴの最高作としてもあげるのがフュージョン・ヴァイオリン奏者、ジャン=リュック・ポンティの『秘なる海(原題Enigmatic Ocean)』である。ジェネシスのライブサポート・メンバーで名高いダリル・ステューマーとジャンとアランのトリプル・リードでのアルバムはジャン=リュック・ポンティの最高傑作であることも間違いない。ダリルとアランは全てにおいて対照的なプレイ・スタイル、ウェットなサウンドで滑らかなアランに対し、ドライでピッキングも一音一音オルタナティブでプレイする2人のバトルは本当に見事である。このアルバムで全曲ドラムを担当したのがスティーヴ・スミスだ。私はアメリカに住むまで、アメリカン・ロックは軽蔑気味だったので、スティーヴのことは明らかにジャーニーではなく、この『秘なる海』で認知し好きになったのであった。 話が脱線気味だったが、今回は明らかにスティーヴ・スミスが主役なのである。

私がご紹介したい“これぞプロ”と驚愕させられた事実は、いきなり4月14日の初日、郡山「Hip Shot」であらわになった。 オーナーは福島県全般でイベントなどでも活躍するPAエンジニアである。当然世界のトップ・クラスのドラマー、スティーヴ・スミスの来場という事で、多くのマイクを用意して待っていた。しかしスティーヴが私に指示したことは「バスドラム用以外は、アンビエントの2本のマイクのみで行く!」という事だった。スネアにすらマイキングしない!スティーヴいわく「ホールではマルチマイキングでエンジニアに音作りをしてもらうしかないけど、150〜300キャパのライブハウスでは、3本のマイキングで、最高のバランスを俺が取って叩くから、その方が良い…」という事だった。本番を終えて感じたことは、まさにスティーヴにはマイキング3本がベストだ!と言う率直な思いであった。 


※2015年にコッラード・ルスティーチの公式チャンネルで公開された動画。
バスドラ1本+オーバーヘッド2本とは思えないクリアでタイトな音!

そしてこの3本マイキングにもまさるスティーヴならではの事実がある。8会場、全9本のツアーである。このツアーに対してスティーヴが持ってきたドラム・スティックは何と2ペアのみ!本当に驚かされて理由を尋ねると「自分はスティックを折ることはない。ワンペアで十分だけど一応念のために予備一組で良いんだ…」世界中探してもドラム・スティック2ペアで海外ツアーに出る一流ドラマーはスティーヴ・スミスしかいない。ご想像いただけると思うが、写真からもお分かりの通り、スティーヴは明らかにハードヒッター・タイプ、少なくともそう見えるタイプのドラマーなのである! 

2つとも世界のトップクラスのミュージシャンの音楽の現場でこそ学べた驚愕の事実だったが、ドラマー諸君、いやミュージシャンで今回の話を読んでくれた方が居たら、ぜひともここから学んでほしい。マイキング、技術に頼るな。自分の演奏バランスを自分で自信もって作れるようであれ!

P.S.
私は使い古したドラム・スティックのコレクターだったのですが、この驚きの理由でスティーヴからはもらえなかったんです。それにしても割り切り方、自分への信頼度はプロ中のプロ!

Written and Photo by naoju5155nakamura

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